嵐のマスターズ初日。松山英樹のリズムを狂わせた「52度での1打」 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●取材・文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 春の嵐だった。長い間マスターズの取材をしてきて、これほどの寒さと強風はあまり記憶にない。おそらく、これまでの中でも屈指の悪いコンディションだったと思う。

 キャディーや選手たちがかぶっている帽子も、少し油断して浅くかぶると、あっという間に風で吹き飛ばされる。真っ白くて細かいバンカーの砂も、まるで砂嵐のように舞い上がっていた。

 半袖でスタートした池田勇太(31歳)も、「『気合いを入れて』という気持ちで、半袖でプレーしたけど、気合いだけでは我慢できないほど寒くて、途中で分厚いセーターを着込みました」というほどである。

 ジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)は、パー5の15番ホールで2打目を刻んで、池の手前に落として3打目勝負に出た。ところが、その3打目がなんと池に落ちた。

 どの選手も、ショートゲームの縦の距離が計算できず、極端にオーバーしたり、ショートしたりするシーンが何度となく見られた。風の影響が強すぎて、まったく距離感が読めないのだ。

 松山は、1番ホールからずっとそんな状況でもなんとか我慢してパープレーを続けていた。それは、初日のゲームプランどおりである。

 前半は、静かに、静かにプレーして、後半でスコアを獲りにいくのが、このオーガスタでの定石。だから、我慢のゴルフは想定内だった。ましてや、この悪天候。みんなが苦しんでいることは、誰でも想像できる。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る