人生のどん底を味わった「元アマ王者」パトリック・カントレーの復活劇 (2ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 そうして、同年6月には鳴り物入りでプロ転向を果たし、2013年3月には下部ツアーとなるウェブドットコムツアーでプロとして初の勝利を飾っている。

 しかし、人生は何が起こるかわからない。ある日、カントレーの背中に突然痛みが生じた。以来、順風満帆だった彼のゴルフ人生の歯車が大きく狂い始めてしまった。

 災難に見舞われたのは2013年5月、クラウンプラザ招待atコロニアル(現ディーン&デルーカ招待)の2日目の朝だった。練習場でウォーミングアップしていたカントレーに、「誰かに、背中をナイフで切りつけられたのかと思った」というほどの激痛が走った。

 その瞬間は「すぐに(痛みも)治まるだろう」と思ってラウンドに出たが、7ホール目で痛みに耐え切れずに途中棄権。すぐに診断を受けると、医師から「腰椎の疲労骨折。3カ月はプレーできない」と告げられるのだった。

 その後、8月に復帰してウェブドットコムツアーのファイナルズに出場。2013-2014年シーズンのPGAツアーカードは無事に獲得したが、痛みが消えることはなかった。

 その結果、2013-2014年シーズンに出場したのはわずか5試合。2015-2016年シーズンにいたっては1試合のみにとどまった。その頃のことを、カントレーが振り返る。

「(背中の痛みを)治すために、あらゆるドクターのもとを訪ねた。ドイツまで行ったこともある。何より苦しかったのは、練習さえもできないことだった」

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