【木村和久連載】世界のファンが本当に望む、五輪のゴルフコースとは? (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 日本の巨匠が設計したコースは、プレーするうえでは、戦略性も、景観も、コンディションもよく、何ら問題はありません。けど、テレビ中継となると、難易度を伝えるのが難しいのです。

 実況で、「あの御神木を超えるには、高いボールで240ヤードを打たねばなりません。はたしてどうか?」って言われても、全部が緑色の林にしか見えませんからね。どんだけすごいショットが必要か、たとえそれが実践できたとしても、どんだけすごいショットだったのか、視聴者には伝わりにくいのです。

 その点、アメリカのウォーターハザード中心の戦略的なコースは、最初からテレビ中継を考慮して造られています。最初にテレビを意識してコースを設計したのは、ロバート・トレント・ジョーンズ・シニアと言われています。それ以前は、「加罰型」と言われる、ミスをしたらペナルティーを課せられる設計というか、そうした思想がメインでした。

 それに比べて新しいタイプのコースは、ウォーターハザードを越えてロングホールで2オンしたら、バーディー、イーグルのご褒美がもらえます。そういうコースは「英雄型」と言われています。

 その"英雄"を実践して、スター選手になったのが、昨年亡くなられたアーノルド・パーマーです。パーマーは、記録よりも記憶に残るゴルフをして、人気面ではジャック・ニクラウスさえも凌駕しました。

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