藤田光里、悲しみを胸に秘め
「これからも、父と一緒に戦っていく」

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 父親の孝幸さんが自宅で倒れ、札幌市内の病院で急逝したというのだ。63歳だった。

 苦悩のシーズンの精神的な疲れがまだ残るなか、藤田を襲った悲劇だった。

 藤田は父親からゴルフを学んだ。3歳の頃からはじめて、ゴルフに関しては当時から"スパルタ"指導を受けてきたという。そんな父親の期待に応えるべく、藤田も精一杯ゴルフをやってきた。

 だから、藤田は「父のために、ゴルフをしていたようなものだった」と振り返る。その悲しみは他人にはとても想像できないが、藤田は父親の存在についてこう語った。

「子どもの頃から、ずっとゴルフをがんばってきて、どんなことも(父に)報告してきました。よかったねとか、悪かったねとか、そう(父に)言ってもらうことを、小学生の頃からずっと続けてきました。それが今や、(自分の結果を)報告する人がこの世からいなくなってしまいました。

(父が亡くなって)『私、何のためにゴルフをやってきたのかな』と考えていたら、父のためにゴルフをやっていたことに気づいたんです。(父に)『よかったね』って言ってもらうためにやってきたのかなと......。その存在がいなくなって、自分はこれから、何のためにゴルフをしていけばいいんだろうって......。お葬式の間も父の遺影を見ながら、『私はどうしたらいいの?』って思っていました」

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