「賞金ランクより、とにかく優勝」
米国帰りの有村智恵が心機一転

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro  五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro


「アメリカに行った最初の年、2013年の終盤からショットの感触が悪くなっていって。もう何をやってもダメで、球に当たった感触が悪いものしか残らなくて......。それで2015年途中から新しいコーチのもとでスイングの改造を始めて、ようやく去年それがいい方向に進んでいる手応えがつかめた。ずっと苦しんできた感触の部分で光が見えたのは大きいです。ただ、それをスコアに繋げるまでには昨年は至らなかった。今年の課題はそのいい感触をいかにスコアに結びつけるかですね」

 2012年までに国内ツアーで13勝をマークし、2009年、2011年、2012年は賞金ランク3位になった実力者が、一新したのはスイングだけではない。プロになってから初めてウエアやシューズ、ギアを変更する決断を下し、ウエアとシューズは今シーズンからニューバランスと、クラブはヤマハと新たに契約を結んだ。

「今年の誕生日で30歳になる節目というのが大きかったですね。私自身がやるべきことは目の前にあるボールをいかに少ない打数でカップに入れるかということで、これまでと変わらないけれど、一度、自分の気持ちをしっかりと切り替えたかった。ニューバランスはオシャレな人たちが着るイメージがあったので、お話を頂いたときは『着こなせるかな』と不安でした。それで実際にウエアを着たら客観的に見て、まるで別人(笑)。ただ、気持ちを新たにさせてくれるし、観る人たちにも"新しい有村智恵"というイメージを作ってもらえそうだなと楽しみにしています」

 これまでのプロ生活11年間で愛用してきたものを変えたことは、気持ちを新たにするだけではなく、肉体的な変化をもたらすことにもなった。新しいシューズを履いたことで、有村は「新たな気づきがあった」という。

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