【木村和久連載】トランプさんよりも
ゴルフが上手い大統領は誰か?

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 他にもアイゼハワーの名前が付けられたゴルフ用語があります。「アイゼンハワールール」というのが有名です。

 心臓に持病を抱えていたアイゼンハワー。ここぞという勝負パットを決めるときには、心臓への負担が心配されていたそうです。そこで、主治医から「グリーンに乗ったら、パターを打たないことにしてはどうか」と勧められ、それを実戦していたと言います。

 スコア計算はどうしたのかというと、カップからどんなに遠いところに乗っても、逆にかなり近くにつけても、2パットで計算したそうです。パーオンすれば、全部パー。バーディーがない代わりに、ボギー以下もなし。なかなかいいアイデアだと思います。だから、今なお"ルール"として残っているわけですね。

 アイゼンハワー大統領は、日本との"ゴルフ外交"にもひと役買っていました。安倍首相の母方の祖父である岸信介首相と一緒にラウンドしていたのです。

 1957年6月、岸首相は渡米してホワイトハウスを訪ねています。それを歓迎したアイゼンハワー大統領は、岸首相に午後の予定をさりげなく聞いたそうです。そして、岸首相が「空いています」と言うや、「では、午後からゴルフをしましょう」とアイゼンハワー大統領が誘って、"日米外交ラウンド"が実現しました。

 ラウンドしたコースは、ワシントン郊外のバーニング・ツリーCC。クラブハウスに到着するや、岸首相の体格に合わせたゴルフクラブのフルセットがちゃんと用意されていたとか。ふたりは、実に楽しい時間を過ごしたようですよ。

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