メンタル改善で今季2勝の鈴木愛。日本人賞金女王へ期待が高まる (4ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

「どこかのメディアの方が、『(3人の中では)鈴木さんが優勝争いを一番経験しているんですよね』と言ったんです。それを、私は『優勝争いにはよく加わっているけど、勝ち切れませんよね』と、遠まわしに言われたんだなって受け取ったんです。周りの人たちも同じように『(鈴木は)また勝てないんだろうな』と考えていると、勝手に思い込んでしまったんですね。それで、この試合は『必ず勝ってやる』と。"また負けるだろう"と思っている人たちの見込みを『絶対に裏切ってやろう』という気持ちが、自分の中で湧き上がってきたんです」

 そんな強い気持ちで迎えた最終日、鈴木は10アンダーまでスコアを伸ばして、2位に1打差のトップに立って最終ホールを迎えた。しかし、そこでもまた試練が待ち受けていた。

 パーでも優勝という状況にあって、セカンドショットでは安全にグリーンの中央を狙うつもりが、打つ直前、「ピンに寄せたい」と一瞬思ってしまったという。結果、中途半端な気持ちで打ったボールは、池のある左のほうへ引っかけてしまった。ボールは何とか池の縁ギリギリに止まっていたが、ボギーなら先に9アンダーで上がっていた上原美希(28歳)と藤本麻子(26歳)とのプレーオフへ、ダブルボギーなら3位転落という状況に追い込まれた。

 さすがに鈴木は「正直、『ああ、また優勝できないのかな......』って思いました。勝ち切れるとは、とても思えなかった」という。

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