【木村和久連載】スピンはかけるものではなく、勝手にかかるもの (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 個人的にはスピンをかけることはありません。短いアプローチでも、ボールが落ちてから惰性で転がる距離を計算し、カップのどれくらい手前にボールを落とすかを考えて、おおよそサンドウェッジで高い球を打ちます。

 砲台グリーンで、カップがすごく手前に切ってある場合などは、もう諦めの境地で「グリーンに乗れば、カップの奥に転がってもいいや」と思って打ちます。下手に小細工して打つと、余計なミスをするので、「こざかしいことはしない」、そう決めているのです。

 とまあ、私はスピンをかけない派でプレーしているのですが、たまたまスピンが勝手にかかることがあります。それは、ご褒美ということで、喜んでスピンの恩恵にあずかります。

 じゃあ、たまたまスピンがかかるって、どういうことなんでしょうか?

 以前、日本の「スピンの父」と言われた(というか、私が勝手に言っているだけです。すみません......)、竹林隆光さんにインタビューしたことがあります。スピンがかかる理由の一端が、そのときの話から垣間見ることができます。

 竹林さんは、クラブデザイナーであり、『フォーティーン』の創業者です。自らもプレーし、日本オープンの出場経験を持つトップアマでもあります。

 フォーティーンブランドのウェッジは、よくスピンがかかると評判でした。個人的にも何本も持っています。最初にフォーティーンのウェッジで打ったときは、ボールの表面から鉋(かんな)をかけたみたいな、小さい削りカスが飛んで、びっくりしたものです。それだけ、シャープにカットが入るんですね。

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