ライバルも驚愕。世界トップ10、松山英樹「進化バージョン」のゴルフ (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 ゆえに、スイングの軸がブレない。大きな慣性モーメントのクラブも振り切れる。もちろんその肉体は、瞬発力だけでなく、4日間を十分に戦える持続力を保持している。さらに言えば、小さな動き、ショートゲームやパッティングに大切な、体幹を太くすることも松山は忘れていなかった。

 その結果のひとつとして、「(松山は)ドライバーショットの距離も出ているし、アイアンショットでは、自分とは(使うクラブが)1番手違った」と、同じく日本オープンで優勝を争った池田勇太が語っている。その松山の"進化"には、池田も「自分がもう1ランク上に行くには、そこかな、と気づかされた。(松山は大学の)後輩だけど、いい勉強をさせてもらいました」と舌を巻くほどだった。

 また、松山の体幹の太さは、とりわけ手強いラフや、足場の不安定なショートゲームなどで真価を発揮していた。

 そしてもうひとつ、松山が大きく成長したのは、ゲームマネジメントだ。それも、18ホールのマネジメントだけでなく、トーナメントの72ホールを"デザインできる"マネジメント能力である。

 まるで4日間、4ラウンドが、それぞれ「起・承・転・結」のように流れるトーナメント。松山は、自分のそのときの好不調に対して、どう順応し、どう組み立てていけば上位に食い込めるのか、そして勝てるのか、それがよく見えている。

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