苦悩の女王・森田理香子「世間にイップスと知られるのが怖かった」 (6ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

「頂点にいたのは、過去の自分の成績であって、今の自分は予選を通ることが精一杯の状態。だから、今の第一の目標は予選通過。そして予選を通過したら、次の目標は40位以内に入りたいとか、そういう段階を踏めるようになってきました。当初は、イ・ボミ選手(27歳/韓国)とか、上位の選手と自分も戦ってきたイメージがあるから、そういう選手たちの活躍を見ると、(低迷する自分と比べて)ちょっとしんどくなるときがありました。でも、『いやいや、それは違うよ。あなたは今、そこのレベルにないからね』って自分に言い聞かせて、前に進もうと思っています」

 現在の自らの立ち位置を理解し、森田は一歩、一歩、前に進もうとしている。とはいえ、このまま上位入賞もままならなければ、賞金シードを失って、クォリファイングトーナメント(QT)に進むことも考えられる。そういった怖さや不安はないのだろうか。

「シードが獲れなかったら、そのときにまた考えます。QTに行ったら、そのときにまた考えればいい。今はとりあえず、予選を通過していくことが大事です」

 26歳の森田。苦労を乗り越える過程で精神的に大きく成長したのだろう。案外、肝っ玉は据わっている。彼女はやはり、トッププロであり、一流のアスリートである。プロとしてやるべきことは怠っていない。

6 / 7

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る