苦悩の女王・森田理香子「世間にイップスと知られるのが怖かった」 (5ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

「他人に言うのも恥ずかしいし、イップスと思われたくないっていう気持ちがありました。それが今年1月のオフ、グアムでプロ野球選手たちと一緒にトレーニングをする機会があったんです。そこで、『イップスでしょ!』ってストレートに言われて......。『あっ、バレてる』って」

 森田は、その野球選手にこうも言われたという。

「『イップスは恥ずかしいことじゃないよ。ゴルフ界だけじゃなくて、野球界でもあることだからね。誰にでもなり得ることだから、恥ずかしがることじゃないよ』って。そして、それを受け入れて、克服していくことが大事だと」

 それから、森田の心構えは一変した。自分の状況を他人に言えるようになり、同じプロゴルファーにも「私、実は怖いんです」と正直に話した。そのときの周囲の反応は、特に驚きもせず、しっかりと話を聞いてくれたという。

「賞金女王になった自分がイップスになっていることが、もし世間に知れ渡ったらどうしようって、内心どこかで怖がっていました。そのことを考えると、すごくしんどかった」

 しかし今は、ありのままの自分を受け入れることで、むしろ精神的には楽になった。現状の実力を受け入れて、目標も低く設定している。

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