苦悩の女王・森田理香子「世間にイップスと知られるのが怖かった」 (3ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 森田は日々、こんなにも悩み、さまざまなことを考えて過ごしていた。そのことにちょっと驚いた。

 賞金女王になった3年前は、取材陣からの質問に対して、淡白な回答で終えることが多かった。賞金女王の座を目前にして、ナーバスになっていたこともあるのだろう。そうした質問に関しては、なるべく避けたいというオーラが全身からにじみ出ていた。

 どこにいてもその動向が注目されるのは、スター選手の宿命だ。それが今、スポットライトからやや離れた場所にいることで、森田はゆっくりと自分のことについて考える時間ができた。それは彼女にとって、貴重な時間になっているのではないだろうか。

「こんな状況にあっても、もっと上に行きたいという思いがあるし、成長するためには(この状況も)必要なことだと思います。だから、『試練を与えてもらったのかな』とプラスに考えられています。現状のままでいいのであれば、そういうことも考えないし、ゴルフをやめるのもありですしね」

 ゴルフをやめようと思ったことがあった――森田は、確かにそう言った。

「やめたら『すごく楽になる』とは思いました。やめようと思ったら、すぐにやめられますよね? 『試合に出ない』って言ったら、やめられますから。でも、やめたいと思っても、結局また(ゴルフを)やっている自分がいるんです。だったら、『どういうふうにすれば、もっとよくなるんだろう』とか、『どこを直していけば、いいんだろう』とか、いろいろとプラスになることを考えています」

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