苦悩の女王・森田理香子「世間にイップスと知られるのが怖かった」

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

「賞金女王」の肩書きを持つプロゴルファーが、まったくの別人に入れ替わってしまったのではないか――。今の森田理香子(26歳)のゴルフを見ていると、そう思えて仕方がない。

厳しい状況が続いている森田理香子厳しい状況が続いている森田理香子 2009年にツアー本格参戦を果たした森田は、いきなり賞金ランク27位となってシード権を獲得。以降、コンスタントに結果を残して、3年前の2013年には絶頂期を迎えた。年間4勝を飾って、横峯さくら(30歳)との熾烈な争いを制して、初の賞金女王に輝いた。

 だが、その翌年からは「賞金女王」としての存在感が薄れていった。2014年には1勝して賞金ランク16位という成績を残すも、2015年は未勝利に終わって賞金ランクは20位まで下がった。シード権こそ獲得していたが、不振の状態にあることは誰の目にも明らかだった。

 迎えた今季、森田は横浜ゴムが展開するPRGR(プロギア)と用具使用契約を結んで心機一転を図った。「女王、復活」を期待する声も膨らんだ。が、ふたを開けて見ると、ここまで19試合に出場して半分以上の11試合で予選落ち。ヤマハレディース葛城の19位タイが今季の最高位で、賞金ランキングは75位(8月8日現在)。シード権獲得さえ、かなり危うい状況にある。

 かつて、眩しいほどのスポットライトを浴びていた森田。今やその輝きは見る影もない。

 そうした状況にあって、試合会場ではなかなか声を掛けづらかった。しかしそんなときだからこそ、森田が今、どのような心境にあるのか、聞いておかなければいけないような気がした。

 練習後に声をかけると、森田は足を止めて、今の自身の状態についてゆっくりと話し始めた。

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