「何も変わっていない」という菊地絵理香。ではなぜ強くなったのか (2ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

「スタジオアリスの2日目を終わったあと、ジエが『私はミスをしてもそれをカバーできる自信がある。だから、ミスが不安にならない』といったコメントをしていたのをインターネットのニュースで見たんです。そのとき、『そうか、彼女は自分のピンチをチャンスと考えているんだな』と、『だから、彼女はミスをしてもニコニコと笑っていられるんだ』ってわかりました。

 それを知って、私は最終日を前にして弱気になるというか、一歩退く気持ちになってしまいました。『ミスしても自信があるんです』なんて、本当に自信がなければ言えないこと。私はまだ、ジエみたいな、そこまでの自信は持てないなって思いました」

 確かに申ジエは、優勝争いの中で腕が縮こまりそうな場面でも、5~6mほどの距離のパットをポンポンと入れてくる。あのパッティングの技術も、彼女の持つ"自信"の表れなのだろう。

 とはいえ、「そんな申ジエには敵わない」と、菊地が戦うことを諦めてしまったわけではない。申ジエのような確固たる自信をつけるために、その後もさまざまなチャレンジを繰り返している。

 特に今、積極的に取り組んでいるのは、ウエッジの精度を上げること。これは、菊地のキャディーを務める川口淳氏のアドバイスによるものだ。川口キャディーは一昨年、菊地が何度か初優勝のチャンスを迎えながら勝つことができなかったときに、的確なアドバイスを送って、彼女の落ちかけていたモチベーションアップにひと役買った人物でもある。

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