全米オープンに挑む松山英樹。勝利のカギは青木功の発言にある

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 その後、1994年大会ではアーニー・エルス(南アフリカ)がメジャー初優勝。2007年大会では、アンヘル・カブレラ(アルゼンチン)が南米出身の選手として初の全米オープン制覇を果たした。

 こうした歴史に残る激闘の舞台となったこのコースの名物は、「教会の椅子」と呼ばれる巨大なバンカー。3番ホールと4番ホールの左サイドのフェアウェーにあって、そのバンカーの中に、ちょうど教会の椅子のように連なっているラフがあることから、そう名付けられた。同様のバンカーは、15番ホールにもある。

 もちろん、それらバンカーに限らず、アップダウンの激しいコース全体の難易度は高い。そして、全米オープン特有の、長いラフ、高速グリーンが選手たちを苦しめる。

「メジャー仕様のコースセッティングは、ワザ封じの難しさではなく、さまざまなワザを駆使しなければ、攻略できない難しさがある。それに加えて、攻める勇気、ひるまない決断と自信が求められる」

 そう語ったのは、1980年全米オープンでニクラウスと死闘を繰り広げて2位になった青木功である。

 そして今大会は、「全米オープン史上、最も難しいのではないか」という前評判である。というのも、コースの改造を重ね、全米プロゴルフ協会が、叡智(えいち)を尽くすセッティングを施しているからだ。そこを攻略するには、まさに青木の言葉どおり、技量と勇気と自信と判断力がカギとなる。

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