女子ゴルフ・野村敏京、ブレイクの理由。「今年は韓国で遊ばなかった」

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 野村のブレイクは、まさにアプローチとパッティングの飛躍的な進歩によるものであることは間違いない。加えて、落ち着いてプレーできている精神力の成長も大きな要因のひとつだろう。

 昨年夏から野村のキャディーを務めるジェイソン・マクディードが言う。

「ハルのメンタルは、すごくフラット。どんなときでも下を向かないで、諦めない強さがある。ハルは、これからもどんどん強くなるよ。目指すは、世界一さ」

 このマクディードとタッグを組む前、実はスイングコーチの叔父がキャディーを務めていた。しかし、何でも言い合える身内ゆえの弊害か、ラウンド中に口論するなど、度々トラブルを起こしていた。昨年の春先だっただろうか、叔父から叱責された野村がラウンド中に涙をこぼす姿を目撃したこともある。

 そうした状況の中、自らの甘えをなくす意味もあって、野村は家族からの独立を決断した。新しくプロのキャディーを迎え、それまでツアーには必ず同伴していた母ソヨンさんも、ツアー会場に毎週足を運ぶようなことはなくなった。

「お母さんはたまに来てくれますけど、洗濯も、食事も、今は自分で全部やっています。これまでとは(周囲の環境が)確かに変わりましたけど、叔父さんは私の大事なコーチだし、お母さんのことは大好き。そこは、何も変わりません。初めて優勝したときはお母さんが(会場には)いなかったんですが、2勝目は母の前で勝つことができました。それが、何よりうれいしいです」

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