嵐でも日没でも。72ホール競技にこだわるPGAツアーのプライド

  • 武川玲子●文 text by Reiko Takekawa
  • photo by Getty Images

 72ホールをプレーするため、PGAツアーではいろいろな工夫をしている。最近よく、MDF(made cut, did not finishの略)という言葉を目にすることがあるが、これもそのひとつ。

 通常は70位タイまでの選手が決勝ラウンドに進むが、同じ順位の選手が多くて予選通過者が70名を優に超えることが頻繁にある。そこで、予選通過者が79名以上になった場合、第3ラウンドを終えた時点で再び上位70位までカットする。この処置のことを、MDFと言う。

 最終日に進めなかった選手は、記録上では予選通過となる。通常どおり、獲得賞金も得ることができる。ただし、第4ラウンドはプレーできない。

 このルールは、悪天候などによって1日に18ホール以上プレーすることになった場合に備えた措置で、2008年から導入された。わずかな人数を減らすことでも、時間にすると大きな違いが生まれることから、PGAツアーと選手会との間で話し合い、試行錯誤を繰り返した結果、現状のシステムに落ち着いた。

 また、ツアー規定では、予選通過を通常の70位タイから、時間短縮のために60位タイに絞ることも認めている。この場合、70位タイまでの選手が記録上は予選を通過したこととなり、賞金も獲得する。

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