テレビに映らないマスターズ。ラウンド後に猛練習していたのは誰? (4ページ目)

  • 文・写真●ヨッシー小山 text & photo by Koyama Yoshie

 松山くんは1パット圏内にティーや練習ツールを置いて、真っすぐのストロークの確認を入念に行なっており、そのあとは同じ距離でいろいろな方向からパットをしたり、右打ち・左打ちと交互に練習して、それぞれの手の感覚を確認しているようでした。それが終わると、バンカー練習場へ移動し、バンカーショットの練習を経て、ドライビングレンジへ。

 ツアープロの中でも練習量の多さで知られるビジェイは、私が見ていた1時間以上もの間、ずっと同じ距離からのパッティングの練習をひたすら続けていました。以前も日が暮れるころまで、ひとりアプローチ練習をしているビジェイを見たことがありますが、華やかな舞台の裏では、このような地道な努力が積み重ねられているのです。

 選手の話す声が聞こえるくらい、すぐ間近で見ていましたが、なんとこの間、周りに人がほとんどいない独占状態。ラッキーでした! そんな意味でも選手の練習風景を見るのはおすすめですよ。

 ティーやアライメントスティック(スイングの軌道などを確認する練習道具)などを使って効果的に練習する方法は、アマチュアゴルファーにも参考になると思います。またドライビングレンジ・アプローチ・パターの練習の割合を見ていても、ショートゲームに相当の時間を費やしていることがわかります。そんなプロの練習比率もぜひ知っていただきたい。
 
 練習熱心で有名といえば、今大会も活躍しているジョーダン・スピースもそのひとり。水曜日パー3コンテストの後、つまりトーナメントが始まる前日に、ジョーダンがとことん練習する姿がテレビでも紹介されました。コメンテーターに「トーナメント前日にあれだけ練習するのもどういうものか」と言われていたようですが、結果初日はノーボギーの6アンダーでフィニッシュ。2日目、3日目も首位をキープしました。

  私は2日目途中でオーガスタを離れましたが、きっとその日も、ジョーダンはコーチのキャメロンとともに熱心に練習していたことでしょう(写真7)。 

(写真7)ラウンド後練習に余念がないスピースとコーチのキャメロン・マコーミック(写真7)ラウンド後練習に余念がないスピースとコーチのキャメロン・マコーミック

 「天才は一日にしてならず」。

 そんな言葉をかみしめながら、ラウンド後の選手の練習からたくさんのことを学んだ時間でした。

【profile】
ヨッシー小山
アメリカLPGA ClassAティーチングプロフェッショナル。2000年から家族に帯同してアメリカに移住。「子供が学校の間にゴルフ」のスタイルで3年目にはシングルプレーヤーになり、5年目でアメリカLPGAティーチングプロに。2011年に日本へ帰国。帰国後はWEBレッスン番組『美☆スイングゴルフ』に出演し、ジュニアやレディースを中心にレッスンに力を注いできた。2015年よりVision54認定コーチとして、笠りつ子プロや藤本麻子プロをはじめ、ジュニアからツアープロまで、メンタルアドバイスも行なっている

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