マスターズ、首位と3打差の松山英樹。真価が問われる「残り2日間」 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 とはいえ、松山本人にとっては納得のいくゲームではなかった。彼の心の中に不満が溢れていた。

「(グリーンの状態に)慣れるんじゃなくて、自分が慣れていかないと」と、試合前に語っていた松山。それが実現できなかったこともあるのだろう。しかし松山に限らず、ほとんどの選手がグリーンの状態をはじめ、オーガスタの厳しい条件に順応できていなかった。初日はただひとり、6アンダーのスピースだけが高度な順応性を発揮していた。

 だが、そのスピースも、2日目は翻弄された。

 2日目の前夜も雨。ところが、朝になると綺麗な青空が広がった。そしてまた、強風が吹き荒れた。そうした条件の中、スピースは6アンダーから2つスコアを落とした。

 一方、松山はずっとしのいでいた。我慢して、我慢して、我慢して、それでもスコアに結びつかないラウンドだった。6番を終えて、3ボギー。通算2オーバーと苦戦していた。

 ようやく、ショットがよくなったという7番でバーディー。続く8番パー5もバーディーとして、なんとかイーブンパーに戻した。が、“アーメンコーナー”の11番で再びボギー。松山はなかなか波に乗れないでもがいていた。

 そんな最中だった。12番のパー3。松山が「外れたかと思った」というバーディーパットが、カップの縁をクルッと回って沈んだ。まるで、神様からのご褒美のようだった。

 そこから、13番、14番でもバーディーを奪って3連続バーディー。この底力が、今の松山にはある。

 通算2アンダー。上位がどんどんスコアを崩していく中、松山はその時点で4位タイに浮上した。

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