【木村和久連載】もはや伝説となった「究極のレッスン」とは? 

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 ドライバーも強烈でした。当然のごとく、めちゃくちゃ飛びますから。しかしそれ以上に圧巻だったのは、短いアプローチです。

 50~60ヤードのアプローチは、「通常60度のサンドウェッジでスピンをかけて、低く打ちながら2バウンド、あるいは3バウンドさせてピンにつけます」と言いながら、実際にポンポンと打って、ボールを2、3バウンドさせながら、カップの1m以内にすべて寄せていったのです。この人は、ロボットなの?

 おそらく、こういう人を見て、プロを目指したり、逆にプロをあきらめたり(世界の壁の厚さに呆然とした場合)するのでしょう。当然ながら、私は「アマチュアでよかった。ゴルフは趣味として楽しむだけにしよう」と悟りましたね。

 最後は、テレビの“名レッスン”でも有名だった故・林由郎先生()のレクチャーを少々。
※戦後復興期のゴルフ界を支えたプロゴルファー。日本オープン2勝、日本プロ4勝など。後進の育成にも尽力し、その門下生には、青木功やジャンボ尾崎らがいる。1970年代~1980年代にかけては、アマチュアゴルファー向けのゴルフレッスン番組などで活躍。2012年、89歳で亡くなった。

 晩年の林先生は、習志野カントリークラブ キング・クイーンコースにいて、フロントに行けば、会えることが多かったです。気軽にサインをしてくださり、「クイーン(習志野CCの距離の短いコース)なら、まだ30台を出せるよ」と言っていました。

 レッスン取材にも気軽に応じてくれて、自慢の「打ったら、引く」アプローチを見せてくれました。そして、「脇は開かない。昔は脇に五銭玉を挟んで、それを落とさないように練習したんだ」と先生。しかし五銭って、いつの話ですか……。

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