宮里藍、完全復活へ。「昨秋、ふと気づいたことがあったんです」 (3ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 浮上への手応えをつかんだ宮里はこのオフ、前年中にはアメリカに戻って、例年よりも早く始動。コーチで父の優(まさる)氏も合流して、アリゾナで2度目のキャンプを実施した。

 そのオフの調整で重点的に取り組んだことは、「原点に戻る」こと。つまり、ショートゲームを徹底的に磨くことだった。ここ数年のパットの不調は、得意のアプローチにも影響を及ぼしていたからだ。

「パッティングに不安を抱えているから、アプローチの際にも『寄せたい』と、余計にプレッシャーがかかってしまっていたんです。それに、日頃からパットの練習に時間を割く分、アプローチが下手になったような気もしてしまって……」

 昨季、好調なドライバーは飛距離も伸びて、フェアウェーキープ率は77%強をマーク。ツアー全体の26位と、非常に高い安定感を誇っていた。パーオン率も67%強と、ショットの精度は悪くなかった。とすれば、パットを含めたショートゲームに課題があることは、数字的にも明らかだった。

 遡(さかのぼ)れば、宮里が年間5勝を挙げた2010年、優勝への原動力となっていたのは、アプローチだった。絶妙なアプローチによって、勝利を手にした試合がいくつもあった。

 グリーン周りの、寄せ、パッティングは、まさしく宮里のゴルフの“要”なのである。ゆえにこのオフは、改めてショートゲームの練習を重ね、宮里本来の精度の高いアプローチを取り戻していった。

「パットが入らなかったとしても、アプローチでしのいで、ゲームを組み立てていくことは、すごく自分の中で落ち着くというか、これがやっぱり自分の“原点”だなって思います」

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