宮里藍、完全復活へ。「昨秋、ふと気づいたことがあったんです」 (2ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 振り返れば、昨季も苦しいシーズンだった。序盤戦ではまずまずの結果を残しつつも、中盤以降は5試合連続予選落ちを喫するなど、苦悩の時間が長く続いていた。

「昨年のテーマは、パッティングで自信を取り戻すことだったんです。でも、そのことを含めて、そもそも目標設定が曖昧でした。そのため、序盤戦では予選を通過していい方向にいっていたので、とにかく早く結果を残そうと、自分をどんどん追い込んでしまったように思います」

 だがそんなとき、「ふと気づいたことがあった」と宮里は言う。それは、「ゴルフは楽しむべき」ということだ。そして彼女は、その本来あるべき姿にもう一度立ち返ろうと決心した。それがちょうど、エビアン選手権の前だった。

 迎えたエビアン選手権、宮里は第一に「楽しむこと」を気持ちの支えとしてプレーした。するとそこで、自分らしくプレーするプロセスを再発見できたという。その結果、6試合連続の予選落ちを回避。38位タイという成績を残して、最終戦の出場権も獲得した。

 それからは、どん底の状態から完全に脱して、最終戦のCMEグループ・ツアー選手権では14位タイと健闘。今季のシード権を確保した。この実績がなければ、今季の米ツアーに宮里の姿はなかったかもしれない。そう思うと、宮里にとって、まさに昨季のエビアン選手権は"転機"だった。そして、そこで得られたものは計り知れないほど大きかった。

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