賞金女王に最も近い日本人プレーヤー、渡邉彩香が「目指す場所」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 イ・ボミやテレサ・ルーとプレーする中で、渡邉はセカンドショット以降の技術的な差を感じたという。とりわけイ・ボミが見せた"ここぞ"というときの、精度の高い"決めショット"に衝撃を受け、このオフはその練習に多くの時間を割いた。例えば、100ヤード前後の距離を、ウェッジから8番アイアンまで使用して、今までにないくらい低く打ったり、高く打ったり、ちょっと抑え目に打ったりして、状況によってさまざまな"決めショット"が打てるように練習した。

「でもこれは、トレーニングだけではわからない部分があります。試合で、それもプレッシャーのかかる場面で、いかに打てるか、ですね」

 ともあれ、技術は確実に上がっている。ツアー本格参戦を果たした2013年から2015年まで、パーオン率や平均パット数など部門別スタッツは年々上昇。今季もさらなるレベルアップが見込める。

 そんな中、昨年のスタッツを見て、ひとつだけ気になることがあった。唯一、リカバリー率()が50位と、極端に低かったことだ。渡邉の成績からして、この数字には違和感を覚えた。
※パーオンしないホールで、パーかそれよりいいスコアを獲得する率

「優勝争いに加わっているときとか、厳しいところにピンが切ってあったりすると、ほとんどの選手はグリーンの広いほうに打つじゃないですか。それが正しいと思うんですけど、私は飛ばせる分、アドバンテージがある。だからセカンドで、安全なほう、グリーンの真ん中を狙う、という考えがあまりないんです。どうしても(ピンを)狙ってしまうんですよ。そうすると、ちょっと球筋がブレただけでグリーンから外れてしまう。しかも(グリーンを外したときは)難しいところに外れることが多いんです。

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