苦悩する渡邉彩香を日本人最上位に導いた、樋口久子の「助言」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして3戦目のTポイントレディス(3月20日~22日/佐賀県)で、2日目に『80』を叩いてしまったんですね。それでもう、どうしたらいいのかわからなくなってしまいました。『あんなにいっぱい練習してきたのに何でできないんだろう?』って、すごく悩みました。普段はイライラすることがほとんどないのに、自分のことが情けなくなって苛立ったりして。『もういい!』って、ちょっと投げやりになっていましたね」

 どんなときでも、試合が終われば次の試合に向けて練習していたが、3戦目まで予選落ちしたあとは、ゴルフから離れた。家族やコーチ、友人たちとゴルフとは関係ない話をして、食事をしたり、散歩をしたりして気を紛らしていたという。が、何をやっていても、頭に浮かぶのはゴルフのことだった。「オフにはいい練習ができたのに、なぜ2014年シーズンのようなスタートが切れなかったのか……」と、思いを巡らせては落ち込んだ。

 しかし、その直後だった。悩める渡邉に転機が訪れる。

 意気消沈した状態のまま迎えた4戦目、ディフェンディングチャンピオンとしてアクサレディス(3月27日~29日)に臨んだ。そのプロアマ戦で、LPGA(日本女子プロゴルフ協会)の元会長・樋口久子プロと同組となった。その際、樋口プロが渡邉の不振を気にかけて、声をかけてくれたのだ。

「どうしたの?」

 そう問われて渡邉は、オフにスイングを変えたことを話して、素直に「悩んでいる」と漏らした。

 すると、樋口プロは「打ってごらん」と言って、渡邉のスイングをチェックした。そして、こんな助言を与えてくれた。

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