美女ゴルファー・森美穂。涙を流した数だけ、本当に強くなった (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 突然の乱調。しかし本人は、「予兆はあったんです」と当時を振り返る。

「高校3年の後半から、ショットがイップス気味になっていて。あの日の6ホール目のボールの弾道、今でも覚えています。イップスの際に出る球筋が出たんです。ボールがありえないくらい右に飛んでいって......。その一打のあとは、もうボロボロ。何もできなくなりました。完全なイップスになってしまって......」

 5年前の自分を彼女は「甘かった」と顧みる。

「状態は決してよくなかったですけど、それなりの結果は出ていたので、『万全ではない。でもプロにはなれるんだろう』って考えていたんです。プロを舐めていましたよね。そんな気持ちを見透かされ、ゴルフの神様に『そんな気持ちじゃプロでやっていけないぞ』って言われたというか......。ただ、そう思えたのも、だいぶあとになってからなんですけどね......」

 プロテスト不合格のあと、森はQT()に出場してTPD単年登録選手としてツアー参戦を目指したが、プロテストのショックを引きずって、ファーストQTで敗退。そのまま翌2012年のプロテストも、最終テスト最終日まで進出するも、通算9オーバー、55位タイで不合格となった。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 高校卒業後、愛知県の三好カントリー倶楽部に所属し、キャディーをしていた彼女は、アマチュア資格を放棄していたため、その資格を失っていた。結果、国内で実戦の場を踏む機会はほとんど得られず、アジアンツアー参戦や中国のQTを受けるなど、もがき続けた。だが、もがき続けるも、その2年間、ショットの不調は回復の兆しすら見せなかった。

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