【木村和久連載】昔ロングが今ミドル。飛距離の伸びが止まらない

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 要するに、現在の日本アマクラスのドライバーの飛距離は、プロ並みの平均280ヤードレベルかと思います。それが証拠に、愛知カンツリー倶楽部(愛知県名古屋市)で行なわれた試合では、面白い現象が起こりました。

 愛知カンツリー倶楽部と言えば、フェアウェー右に通称「アパッチ砦」と呼ばれる大きな丘がある14番ロングホール(548ヤード)が有名です。攻略ルートは、最短ルートとなる「アパッチ砦」越え(約290ヤード先がベスポジのフェアウェー)を狙うか、左の平らなフェアウェーから攻めるか、どちらかに分かれます。「アパッチ砦」越えというチャレンジの結果次第では、十分にイーグルも狙えます。

 1964年の日本アマでは、中部銀次郎選手が左の平らなルートを選択し、きちんと刻んで3オン。その安定したプレーで2度目の優勝を飾った逸話がよく知られています。

 ところが、2007年の日本アマでは、多くの選手が「アパッチ砦」越えを選択し、難なく攻略してしまったのです。そうなると、試合の行方を左右するポイントとも言えず、もはやドラマ的にはどうなの?って具合になりました。

今や300ヤード超えも当たり前のプロゴルファー。その飛距離はどこまで伸びていくのやら……今や300ヤード超えも当たり前のプロゴルファー。その飛距離はどこまで伸びていくのやら…… ちなみに、今やプロはみんな、「アパッチ砦」を越えて打ってしまうので、ロングホールとしての意味をなさなくなり、2010年の日本オープンでは、454ヤードのミドルホールとして設定されていました。名匠・井上誠一氏の設計ですが、設計の予想を超える飛距離の伸びには、先生もあんぐりといったところでしょうか。

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