2016.01.01

イ・ボミの人生を変えた「勇気ある決断」と「運命の出会い」

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

「私ひとりだけゴルフをやって、そこに多くのお金がかかっていたのはわかっていました。それによって、姉や妹たちがやりたいことができない状況にあったことも、重々承知していました。だからこそ、自分はゴルフで結果を出さなければいけないと思っていました。姉や妹たちに苦労をかけた分、日本で成功するしかなかったんです。

 当時のことを思えば、まだまだ足りませんが、今になって姉妹にも少しは恩返しができているかな、と思っています。そして、私と母は今、ほとんど日本にいますが、それでも家族みんなが仲良くしてくれていることが、すごくうれしいし、家族みんなに感謝しています」

 話を戻そう。田舎町(5歳のときに引越した江原道・麟蹄郡)の厳しい環境の中でも、父親の指導を受けて着実に実力をつけていったイ・ボミだが、彼女が高校生になったとき、転機が訪れた。

 その頃になると、母が営んできた飲食店が軌道に乗って、お金に困ることも少なくなってきた。しかし、ゴルフの実力をより高めていくためには、より良い環境に身を投じる必要があったのだ。

 そこで、イ・ボミは一大決心をする。

「水原の高校に通う」

 そう決めたのだ。

 そもそもイ・ボミが生まれた水原には、ゴルフ場や練習場も多く、ゴルフをやるには万全の環境が整っていた。日本ツアーで活躍する、申ジエ(27歳)やキム・ハヌル(27歳)が、現在も拠点としている場所だ。

 そして、イ・ボミは母とふたりで、水原に引っ越した。高校2年生のときだった。イ・ボミが、そのときの思いを神妙な面持ちで語る。