賞金女王イ・ボミが「ゴルフはもうやめる」と言って涙した日 (5ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

「練習場と言っても、きれいに整備されているわけではないんですよ。ベアグラウンドのようなところから、ちょっと距離を出して打って、インパクトを確かめる程度です。もちろん、レッスンプロもいません。ですから、海外のゴルフ雑誌のレッスン記事を見ながら、それを参考にして練習していました。スライスが出るときはどう打つのか、とか、いろいろとトライしながらやっていました。あとは、父が作ってくれた砂袋やタイヤを(ボールに見たたて)アイアンで叩く練習ばかりしていました」

 また、イ・ボミの家庭は決して裕福ではなかった。本来、子どもにゴルフをさせるような余力はなかったという。しかし、イ・ボミにゴルフをさせるため、父は電気工事職人として昼夜を問わず働いた。母もまた、飲食店などさまざまな店を開いて、ひとりで切り盛りしていた。

 その当時のことを、長女ボラさん(35歳、ネイリスト)の夫、ムン・デキルさんが語る。彼は現在、水原市内にあるイ・ボミが手がけたインドア練習場『イ・ボミスクリーンゴルフゾン』の室長を務めている。

「子どもが4人(姉妹)いて、ましてゴルフはものすごくお金がかかるスポーツ。さすがにお義父さんの稼ぎだけではまかなえなかったと思います。その分、お義母さんは苦労していましたね。いろいろな飲食店を経営して、家計をやりくりし、ボミのゴルフ費用を捻出していました。それはもう、毎日が必死だったと思います」

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