メジャーの壁にぶつかっている松山英樹に必要な「フローゴルフ」 (4ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

「松山はこれまで、いろいろなことにトライして、自らの足りない部分を埋めてきた。それで、技術的には何ら申し分のないところまできている。でも、なぜか勝てない。それが、“メジャーの壁”。それは、何かをきっかけにして打ち破ることができるんだけど、そう簡単には破れない。今回優勝したJ・デイだって、そう。ずっと優勝争いに加わってきて、やっとメジャータイトルを手にした。要は、それだけの経験が必要。それを考えれば、松山は米ツアーに参戦してまだ2年。これから経験を重ねていけば、いくらでもチャンスは訪れる。我々は長い目で見て、そのときが来るのをじっくりと待っていればいい。

 一方で、今の世界のゴルフ界は、技術面における差がほとんどない。その中で、結果を出す後押しとして、メンタル面が重要視されている。あまり根を詰め過ぎてもいけないし、単純なリラックスだけでもいけない。つまりそれは、一般的に言われるメンタル面の問題ではなく、自らをゾーン(究極の集中力)に導いていく手立て、という意味でのメンタル面のこと。いわゆる“フローゴルフ”と言われるもので、うまく自分をゾーンに入れていく術が必要とされている。今や、そうした技術だけじゃない部分も大事になっていて、それができないもどかしさが、松山にあるのは確か」

 今季のメジャー4戦は終わった。しかし、今年で日本人のメジャー制覇の夢が消えたわけではない。松山自身、そこを明確な目標としてとらえ始めた今、その瞬間は必ず訪れるはずである。

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