【木村和久連載】アマチュアゴルファーの新定番「89ビジョン」とは

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 平均『89』のスコアは、感覚的に言うと、3ラウンドして2回は80台を出さないと達成できません。ハンデでいうと、10~12ぐらいですか。シングルでなくても達成できます。

 私も鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)で、ハンデ12で頭打ちとなり、シングルプレイヤーにはなれませんでした。そこで、自分をどう納得させればいいのかと、たどり着いたのが、「89ビジョン」です。

 ゴルフは、上を見ればキリがないスポーツです。

 どこぞのゴルフクラブのメンバーになり、死ぬ思いでやっと(ハンデが)シングルになったと思えば、次はクラブ代表の選考、競技会に向けての練習の日々が待っています。そして、スクラッチ選手権、クラブチャンピオン選手権など、クラブナンバーワンを決める戦いに参戦です。

 ひと度、クラブを飛び出せば、パブリック選手権、ミッドアマ、日刊アマなどの試合があって、その先には日本アマがあり、果ては日本オープンが待っています。ほんと、キリがない。

 ゴルフは上手くなればなるほど、果てしない荒野が延々と広がり、どこかで歯止めをかけないと、人生がゴルフじゃなくて、ゴルフが人生になってしまいます。

 この"無間荒野地獄"に歯止めをかけるヒントが、中国の戦国時代に生まれた「鶏口牛後(けいこうぎゅうご)」ということわざです。大きな国の下っ端で働くよりは、たとえ小さな国でも先頭に立てる王のほうがいい、という教えです。

 これを「89ビジョン」的に解釈しますと、クラチャン(クラブチャンピオン選手権)の予選に出て、ボコボコにされるよりも、商店街のコンペに出て、「ゴルフ、上手いですね」と褒められながら優勝したほうが、なんぼ人生楽しいやら、です。

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