コウ・ウスンが語る「女子ツアー、韓国人選手が強い理由」 (3ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

●育成システム

 韓国はナショナルチームが選手育成に力をかなり入れていて、メンバーになれば、それこそ、コーチが付くし、トレーニング、栄養面、強化費用など、すべてのサポートが受けられる。だからナショナルチームに入るための競争は熾烈です。

 もちろん、最初から強い子供はいませんから、それぞれの家庭でお父さんが教えたりして始めるわけです。練習場は日本よりも高いくらいだからお金は掛かります。でも、そのうちに頭角を現せば、タダで練習場で球を打たせてもらえるとか、ゴルフ場で手伝いをした後にハーフを無料で回らせてくれるとか、普通の家庭の子供もナショナルチームを目指せるようにはなっています。

 そういったジュニアの子たちの練習量はすごいです。朝6時半にオープンする練習場の前には、6時からダァ~っと親子連れでジュニア選手が並ぶんです。練習が始まれば、打席の後ろでお父さんが見ているのだから、子供たちはメールや電話も出来ないんです。いいか悪いかはわからないけど、でも10代の伸び盛りの時には、そういう時期が必要で、プロになれたら、オンとオフを切り替えて上手くやっていく。それが韓国人選手の強さなのかなと思います。

 1998年の朴セリの全米女子オープンでの優勝を見たお父さんが、娘にゴルフをやらせて育った子らが『パクセリキッズ』で、それがアンちゃんやイ・ボミ、申 ジエたちです。そのパクセリキッズ以降の世代も選手は育っていて、今すぐにでも日本のレギュラーツアーに出られるレベルの20歳前後の選手が韓国には500人くらいいると言われています。日本のツアーは魅力的ですから、これからも韓国人の若手がどんどん参戦してくるでしょう。

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