【ゴルフ】藤田光里が語る優勝秘話「私を変えた83の大たたき」

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Sueishi Naoyoshi,Getty Images

 藤田も、アマチュア時代は北海道アマ5連覇という実績を持ち、“スーパーアマチュア”のひとりである。だが、プロで結果を残していくためには、基本的なことから、やらなければいけないことがまだまだたくさんあったわけだ。それに気づいた藤田は、今までの自分の練習法やルーティーンも少しずつ変えてきた。きちんとアイアンの番手による距離をつかみ、アプローチにしても感覚的なプレイからの脱却を図った。そうして、プロとして一歩ずつ、前に進んでいる。

「アプローチの距離感は、昨年よりもかなりまとまってきたと思います。ミスしたときにも、どうしてミスしたのかわかるようになってきたので、そこは成長している部分だと自負できます。

 イップス気味だったショットやパッティングも、とにかく気持ちで乗り越えてきました。おかげで、何事も自信を持ってやればできるんだということを、身を持って実感しています。昨年の夏からおよそ10カ月、どん底も見たし、上も見られた。なんか、すごく忙しい期間でしたね(笑)」

 これまで味わったことのなかった苦労も、今では笑って受け流せるくらい、精神的な余裕も生まれた。そんな藤田が初優勝の次に目指す先は、どこにあるのだろうか。

「1勝を飾ったからには、がむしゃらに2勝目を目指したい。次、すぐにまた勝たないと、『(1勝目は)まぐれ』って(周囲から)言われるのもわかっているんで(笑)。それに、今ではいいスコアを出すことが強いんじゃなくて、気持ちで負けないことが強いんだって思うようになりました。強いゴルファーって、最後まで諦めずにプレイして、最終ホールで笑っている人だと思うんですね。自分も、そんなゴルファーを目指していきたい」

 ツアー初優勝が藤田に与えた自信は計り知れない。諦めないこと、そして最後には笑っていること。自ら誓ったその思いを忘れなければ、2勝目を挙げる日もそう遠くはないだろう。


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