【ゴルフ】藤田光里が語る優勝秘話「私を変えた83の大たたき」 (3ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Sueishi Naoyoshi,Getty Images

どん底を味わってから、それまでとは練習方法も変えたという藤田。どん底を味わってから、それまでとは練習方法も変えたという藤田。「前半戦は、調子がいいというよりも、“流れ”で上位にいられた、という感じでした。後半戦はいろいろあって、精神的にもつらい時期でした。それで、ショットもバラバラになって、クラブを握るのも嫌になっていました」

 そうした状況の中、一番近くで支えてくれたのが、大江キャディーだった。どん底の状況にあっても、辛抱強く見守って、藤田のプレイの後押しをした。そして藤田は、大江キャディーと相談して、練習方法の改善も行なった。

「練習方法については、キャディーさんといろいろと話をして、試行錯誤を繰り返してきました。その中で、最も大きく変えたのは、自分の一番の弱点だと思っているアプローチの練習です。今までは、これくらいの振り幅だったら何ヤードくらい、という漠然としたもので、すごく感覚的なものでしかなかった。それだと中途半端というか、球の出方がバラバラだったんです。

 それを、しっかりと距離を測って、その場所に落とす、という練習に変えました。今では、1ヤード刻みで距離感をつかむ練習を徹底的にやっています。例えば、残り69ヤードだったら、その(距離を打つ)番手でのスイングができるよう、その形を体にしみ込ませています」

 藤田はこれまで、自らのアイアンの番手でどれぐらいの距離が出るのか、明確に把握していなかったという。それは、プロゴルファーとしては致命的なことだが、ジュニア時代から活躍している女子プロゴルファーには、そうやって感覚的にプレイしている選手が少なくない。ゆえに、アマチュアとプロとのコースセッティングの違いなどにうまく対応できず、ジュニア時代には強かった選手が、プロではまったく勝てない、ということがよく見受けられる。

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