予選12位通過も松山英樹を苦しめたマスターズの「異変」 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by AP/AFLO

 運も、不運も、ゴルフゲームにはつきものである。きっと長い目で見れば、誰にでも平均の法則が成立する。それでもこの2日間、スピースは運がつきまくっていた。危うい場面でも、ボールの転がり、キックの行方に助けられた。初日から「64」「66」は、幸運に包まれた実力かもしれない。

 逆に、松山はアンラッキーな場面がいくつかあった。その典型が、初日の17番(パー4)、第2打。第1打を右にふかして、木の近くに打ってしまったものの、グリーンは狙える位置だった。ところが打ってみたら、ボールの下に木の根っこが隠れていた。グリーン左手前に曲がって、結局ボギー。さらに18番(パー4)もボギーとし、3アンダーが1アンダーに落ちた。

 そしてもうひとつ、松山にとって不運だったのは、グリーンのスピードだ。タイガー・ウッズ(39歳)も「こんなにソフトで、遅いオーガスタのグリーンは初めてだ」と言うように、例年よりも遅い。そのスピードと松山がイメージするタッチが合わない。逆にスピースにとっては、完璧に合っていた。

「例年よりグリーンのスピードはちょっと遅いかなと思いますけど、昨日よりは速くなっています」と、松山は言い訳しなかったが、実はそこに、イライラがあったはずだ。

 そんな松山にも、運が向いてきたのは、2日目の12番ホール(パー3)だった。

 第1打が、左エッジ。そこは下り坂になっていて、そのまま池に傾斜しているのだが、幸運にもボールはピタリと止まって、池ポチャを免れた。

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