2015.03.20

【ゴルフ】苦節10年。前田陽子に光を与えた「師匠の言葉」

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

 そんな前田に転機が訪れたのは、2013年だった。その年から、今堀りつプロの指導を本格的に受けるようになったのだ。今堀プロと言えば、現役時代に482試合連続出場という日本記録を樹立。当時「鉄の女」と呼ばれていた猛者だ。

「今堀さんからは、技術、考え方、攻め方など、ゴルフのすべてを教えてもらいました。なかでも、いつも言われていたのは、『なんぼ(スコアを)叩いてもいいから、自分が“こうする”って、決めて打つようにしなさい』ということ。例えば、パッティングなら『ここに打つって、決め打ちしなさい』と。『その結果、入ったらいいし、入らなくても、それは読み違いだったんだって、思えるじゃない。最悪なのは、迷いながら打つことよ』って言われました。それを聞いて、『あッ、それなら気持ちもすっきりするし、いらん心配もなくなる』って思いましたね」

 そうして前田は、今堀プロの指導によって2013年暮れのファイナルQTを12位でフィニッシュ。翌2014年シーズンの、ツアーフル参戦の資格をついに手にした。

 もちろん、ツアーで戦い抜くことも簡単ではなかった。予選落ちを繰り返し、予選を突破しても、50位前後の成績にとどまったが、そこでも支えになってくれたのは、師匠の今堀プロだった。今堀プロから「あんた、いつになったら稼ぐの?」「もう、あとがないんやで」といった叱咤激励を受け続け、シーズン土壇場の伊藤園レディスで、ようやく美酒を味わった。

 実はその際、前田の優勝を手助けしたのも、今堀プロの言葉だった。

「明日(伊藤園レディス最終日)はなんぼ叩いてもいいから、ショットも、パットも、自分が“こうする”と決めて打ちなさい」

 優勝争いに挑む前田の気持ちは、それで楽になったという。