【ゴルフ】苦節10年。前田陽子に光を与えた「師匠の言葉」 (2ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

 前田は1984年11月26日、徳島県小松島市に生まれた。小学校時代は"文化系少女"で、書道やそろばんが得意だったという。特に書道は七段の腕前だった。

「だから、(将来は)書道の先生になろうと思っていました。でも、小学校6年生のときに、父親の勧めでゴルフを始めると、それからはゴルフひと筋でした」

 前田の父親はその頃、徳島で海上自衛隊に勤務していた。決して裕福な家庭ではなかったものの、前田がゴルフを始める際、父親は最初からレッスンプロをつけて、娘に基礎から学ばせた。以来、前田はゴルフに専念し、高校進学の際には、四国の名門・香川西高ゴルフ部から誘いを受けた。

 そこで、前田は急成長。3年生のときには、香川県女子アマで優勝を飾った。そして、高校卒業後には、香川県のゴルフ場でバイトをしながらプロの道を目指した。が、プロへの道は甘くはなかった。2004年、初めて受けたプロテストで不合格。地元・徳島に戻ってからも、ゴルフ場の研修生をしながらプロテストを受けるが、2005年、2006年と立て続けに落ちた。前田が当時を振り返る。

「(自分の考えが)甘かったんですよ。高校を卒業して、すぐに四国から出ていたら、プロテスト合格までにそんなに時間はかからなかったと思います。でも、四国から出ることができなかったんです。家にいると、落ち着くからです。甘い、ですよね(笑)。また、ゴルフ場の研修生も、当時は私ひとりでしたから、キャディー業務を終えて、それからひとりでコースを回るのがしんどくて、さぼることが多かったんです」

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