【ゴルフ】3年前とは違う。斉藤愛璃が見せた「心の変化」 (4ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 ここ数年は、自分のことだけで精一杯だった。が、ツアーフル参戦が決まって、精神的にも落ち着いた斉藤は、周りがよく見えるようになったのだろう。練習ラウンドやラウンド中にも他の選手と会話する余裕が生まれ、プレイに限らず、さまざまな知識を吸収できるようになった。

 視野が広がれば、プレイの幅も広がるはずである。そんな斉藤の活躍にますます期待が膨らむが、今季の目標について彼女はこう語った。

「(3年前に)初優勝してからは、自分の調子がぜんぜん上がってこなくて……。(周囲から)目標を聞かれても、『また優勝する!』という言葉を、なかなか言えませんでした。(優勝した)当時はまだ力がついていない状況で、結果だけ先に出てしまったんですね。でも今は、あの頃よりも力がついた、と確信しています。そういう意味では、優勝やシード権獲得より、今季はまず自分の平均ストロークをイーブン(72.0000)に持っていけるようにしたい(昨季平均ストローク66位=73.5118)。それが、目標です」

 プロゴルファーの実力を測る数字の、最たるものは平均ストロークだ。昨季も、平均ストローク72.0000以下だった25人の選手は皆、賞金ランキングの上位に名を連ねた。25位(71.9333)の福田真未(22歳)も、優勝こそなかったものの、賞金ランキング27位という好成績を収めた。つまり、その数字を達成できれば、賞金シードは確実となる。

 斉藤がそこに目標を定めたということは、目先の結果ばかりを求めて、苦い思いをしてきたここ数年の反省もあってのことに違いない。シーズンを長い目で見られるようになり、プロとして地に足をつけて戦えるようになった今季、斉藤が女子ゴルフ界の“ヒロイン”として、再びブレイクしてもおかしくない。

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