【ゴルフ】森田理香子が復活宣言「もう一度、一番になる」 (3ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 また、森田が技術向上に励むのは、師匠である岡本綾子プロの、技術を身につけることの重要性を説いた言葉が、常に胸に刻まれているからだ。

 球は曲がるもので、逆に(言えば)曲げるもの。球は曲げるものであって、ストレートは究極の技――。

「私はもともと、ダメでもやってみよう、という性格なんです(笑)。とにかく今は、岡本さんの言葉を信じて、自分の力でどこまでできるのか、技術を磨いていくだけです」

 さらに森田は、技術習得のために、他の選手のプレイを以前よりも観察するようになったという。

「岡本さんに『他の選手もそれぞれいい部分をたくさん持っている』と言われて、それが自分のゴルフにも生かせればと思って、特に自分とは違うモノを持っている選手のプレイをしっかりと見るようになりましたね。例えば、不動裕理さんはアプローチがすごくうまい。そこで、自分とは手首の使い方が違うな、というのを見て、そのやり方を研究したりしていました」

 賞金女王になった一昨年、おそらく森田は自分のことだけで精一杯だった。ゆえに、横峯との女王争いが熾烈になればなるほど、自らの焦りや不安を隠せず、自滅してしまうことが多々あった。それが今や、周囲の選手のプレイを見るだけの余裕が生まれた。昨年の一年間で、精神的にも確かな成長を重ねていたようだ。

 1月8日、森田は25歳の誕生日を迎えた。日本女子ツアーにおいては、もはや若手ではなく、中堅といった位置づけとなる。およそ1カ月後に始まる2015年シーズンでは、今季から米ツアーにチャレンジする横峯に代わって、日本女子ゴルフ界を引っ張っていく存在として期待される。

「賞金女王になってから、“ツアーの顔”というふうに見られていることは自覚しています。だからこそ、出られる試合にはすべて出場したいし、そうした期待に応えられるようにしたい。そのためには、まずは1勝。そして、2勝、3勝と続けて勝ちたい。今、はっきりと思うのは、もう一度『一番になりたい』ということです」

 2度目の賞金女王を狙うことを、あえて口にした森田。そこに、自分がツアーを引っ張っていくという強い覚悟と、技術的にも、精神的にも、ひと回り成長した“女王”の風格を感じた。常にゴルフに対して真摯に向き合ってきた彼女の復活、いや、一段とたくましくなった姿が、まもなく見られるだろう。

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