【ゴルフ】森田理香子が復活宣言「もう一度、一番になる」 (2ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

「賞金女王になったことで、(周囲から)常に上位争いして当たり前、と思われていたのはよくわかります。それは、すごく光栄なことだと思っていますし、私自身、一番になったからには、次もそこに挑戦しようという気持ちはありました。でも、何事においても、そう簡単に思いどおりにはいきません。

 その結果、賞金女王に見合った成績を出せなかったので、(不調とかスランプとか)いろいろと言われてしまいました。だからといって、それをマイナスにとらえることはありませんでした。それだけ、周囲の人たちが(私のことを)期待して見てくれているということですから。それに、これからの長いゴルフ人生を考えたら、落ち込んでいる場合ではありませんでした」

 期待が高い分だけ、メディアから厳しい評価を下されることもあった。辛らつな批評に嫌な思いをしたこともあっただろう。何より、結果を出せないことで、自らが最も苦しんでいたはずである。だが、そんなシーズンを思い返す森田の表情に暗さはなかった。反対に、自らの戦いぶりを淡々と振り返りながら、穏やかな笑顔を見せた。というのも、新たなことにチャレンジできたこと、その点で満足しているからだという。

「昨季は、初めて全米女子オープン(35位タイ。6月19日~22日/ノースカロライナ州)に参戦し、一昨年に続いて全英女子オープン(27位タイ。7月10日~13日/イングランド)にも出場しました。その際、それぞれのコースを回って、米ツアーで戦う選手たちのプレイを目の当たりにして、(コース攻略のために)必要な球筋を身につけることの大切さを、改めて痛感させられました。日本ではそこまでの球筋を必要としないコースもあるのですが、そういうショットも身につけて、積極的に実践していかなければいけないな、と思ったんです。それで昨年は、日本のコースでもティーショットやセカンドで、毎ホール球筋を変えて打っていましたし、フックやスライス(ショット)の精度を上げようと努力していました」

 森田は海外メジャーを戦ったことで、自分の未熟さを再確認した。そして、自らに足りないものを見出し、新たな技術の習得に取り組み始めた。試合の中でもあらゆることにチャレンジし、自らの技術に磨きをかけてきた。「優勝」という結果には表れなかったものの、森田自身は着実に成長を遂げて、トッププロへの道をしっかりと歩んできたのである。

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