松山英樹、年明け初戦で見せたメジャー制覇への「確かな一歩」 (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 松山は常々、優勝争いの中でプレイすることを欲している。それは、松山だけに限らずトップクラスの選手なら誰しもが望むこと。なぜなら試合の中で、優勝争いの中で、どれだけ自分のプレイができるか、ということがゴルフの本質だからだ。練習場やプレッシャーのかからない順位でのプレイでは、本当の実力は推し量ることはできない。「ゴルフはメンタルのスポーツ」と言われる所以がそこにある。

 そのプレイの違い、つまり優勝争いの中で生じる微妙な心の動きを、「優勝争いをした人にしかわからない......」と、松山は語る。

 そうした状況の中、今回はわずか一打及ばなかったが、早い段階で優勝争いから脱落しないで、最後まで崩れずにチャンスを残したことは価値がある。

「こういうこと(経験)が大事だと思う。こういうのを何回も、何回も(経験)していくうちに、(優勝争いの中でのプレイに)慣れていくのだと思う。ほんと、(結果を出すには)そういうことの繰り返しが大事なんだと思う。

(最終日は)パットが途中から入らなくなって、そこからうまくいかなくなった。それでも、それなりのラウンドができて、崩れることなくホールアウトできたのはよかった。パットが入らなかったのは、いろいろな原因があると思いますけど......。試合でそれを、次に優勝争いをしたときにはそれを、決められるようにがんばっていきたい」

 戦いが終わって、30分ほど経過したぐらいだろうか。しばらく口惜しさでいっぱいだった松山から、そう前向きな言葉が発せられた。

 松山にとって、3位タイという結果は不本意かもしれない。しかし今季は、すでに3度目のトップ10フィニッシュとなる。2015年の初戦で、松山は世界のトッププレイヤーであることを改めて証明し、米ツアー2勝目が近いことを確かに予感させた。4日間のラウンドの中では、松山自身の言葉からもその手応えが感じられた。

「昨春に比べれば、ずっといいゴルフができている。あの頃は、ボギーをひとつ叩くと、それがそのあとのプレイに響いてしまった。それに比べて今は、もっとリラックスしてプレイができている。優勝争いをする中でも、ひとつでも何かができるようになっていけばいい。それが、結果として優勝につながれば最高だけど、うまくいかなかったとしても、自分の中にひとつずつ何かが蓄積されていけばいいかな、と思っている。何にしても、試合になったら、一打、一打、集中してやっていくことが大事。それで、うまくいけば優勝のチャンスはある。逆にミスが多くなれば、下位に落ちるだけ。ミスをしない人が勝つ。当然、自分にチャンスが来れば、どんどん優勝を狙っていきたい」

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