2014.11.19

【ゴルフ】B・ワトソンの豪打を見て、日本とのレベル差を考える

  • スポルティーバ編集部●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

「アメリカでは"見る"ゴルフと"する"ゴルフの棲み分けが進んでいる。PGAツアーのコース設定は、飛距離や曲がる球など技術的なものはもちろん、ホールごとの攻略の仕方などインテリジェンスも求められ、観客やテレビ視聴者にとって迫力のある、おもしろい試合を提供している。一般の人にはとてもマネできないうようなゴルフを、アスリートとして鍛え上げられた選手たちが魅せる時代なのです。実際、それで成功していて、試合数も賞金総額も増えています。"する"という観点では、一般の人の競技人口が減ったり、ゴルフ量販店はつぶれたりという実情もある。日本のゴルフ場では、通常の営業を考えると、そういうトーナメントコースはなかなか作れないし、元々そんなに土地も広くないですから、観戦用のスタンドや駐車場を作るのさえ難しい」

 難しいコースを攻略しようとなると、パワーとテクニックが求められてくるのは必然だ。

「まず、日本人選手とショットの精度が全然ちがうでしょう。日本では(パー4なら)ドライバーを打って、次はショートアイアンやウェッジでOK。アメリカでは、2Iや4Iを使うホールも出てくる。いろいろなクラブを使いこなすことが求められるんです。

 また、グリーンやグリーン周りもこういうショットで攻めないと乗りませんよ。バーディーを取れませんよという設定になっていて、明確な意図があるんです。そして、100ヤード以内のショットに関しては、80ヤード、60ヤード......と20ヤード刻みで、あらゆる選手のショットの正確性を示す細かいデータを、PGAツアーが発表しています。それだけ、ショットの精度にこだわっている証拠です」

 実際、日本ツアーで勝つレベル、PGAツアーで勝つレベル、技術、意識においてどのくらい差があるのか。

「日本で勝てる人は、グリーンを8分割して攻めることができる。メジャーで勝つような人は16分割して攻めることができるのです。さらに、16分の1への攻略法として奥につけてバックスピンで戻す、真上から落として止める、手前から転がすなど、といろいろな攻め方が求められる。そういう点では飛距離も重要で、2打目の番手が2つも3つも違うと、やはり精度は変わってくる。今は技術があっても飛距離がなければ、アメリカでは勝てなくなっています」

 さらに、精神面も大事になってくる。

「日本にも"球打ち"が上手な選手はいっぱいいるんですよ。ショットはいい、でもゲームが下手。練習の時は0コンマ何ミリを追求するのはいいけど、試合は、その精度を極める場ではない。たとえば、ボクシングの選手が試合中に『今のパンチ、角度が2度違うな』とは思わないでしょ? ただ、ゴルフはいろいろと考えてしまう時間がたくさんある。ボールを打っているのは1日、正味3分弱だし、しかも試合中に3回寝なきゃいけない特殊なスポーツなんです。

 石川、松山あたりは上位の選手とショットの精度に関して、そんなに変わらない域に来ていると思う。でも試合になると、松山は8割、石川は6割くらいしか、本来の力を発揮できていない。技術を極めていく一方で、いい意味で試合ではミスを許容できるようになると一歩上のステージに行けるはずです」