松山英樹が開幕戦で見せた風格「今はミスを許せる」

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 2日目は、さらに圧巻のプレイを見せた。松山本人が「文句なし」と言うほど、ティーショットが絶好調。スコアを5つ伸ばして通算7アンダー、トップと3打差の7位に浮上した。

「ティーショットが安定していたのが一番良かった。スイングのイメージを変えてみたら、いい感じで振れるようになった。説明するのは難しいんですが、横振りから縦振りにした感じです。でもそれは、『変えた』というよりも、(スイングの)崩れていた部分がちょっとずつ戻ってきているのかな、と。この1年、自分がいいと思ってやってきたことが、実はよくなかったのかな、と思う。何にしても、そのことに気づけたのはよかった。

 あと、今はそんなに切羽詰ってやっていないというか、いい意味で(自分の)ミスを許せている。パッティングがいいとか、ドライバーがいいからとか、いろいろな要素があると思うけど、『ミスしても仕方がないな』と思ってやれている。(いい結果が出ているのは)それがすごく大きいと思う」

 3日目は、ややティーショットが乱れた。それでも、通算10アンダーとスコアを伸ばして、順位は7位タイをキープした。

 迎えた最終日、前半はパッティングに苦しめられた。何度かチャンスを迎えながら、カップに蹴られるなどしてスコアを伸ばせずじまい。トップとの差を詰めるどころか、上位争いからも脱落しそうになった。しかし後半、12番でバーディーを奪うと、土壇場の17番、18番で連続バーディー。優勝には届かなかったものの、3位タイに食い込んで、世界ランキング上位者としての貫禄を示した。

「(開幕戦を振り返って)ショットに関しては、ばらついたときもあったけど、途中でうまく修正できた。あとは、パッティングが入るのを待つだけですね。まあでも、『お先、真っ暗』という状況から少しずつ光が見えてきた。さらに練習をしていい手応えをつかめれば、もう少し上位との差を詰めてプレイできると思う。これからも一戦、一戦、大事にしていければいいのかな、と思っています」

 開幕戦で際立っていたのは、4日間を通して平静を保っていた精神面だ。ショットが乱れたり、パットが入らなかったりして、瞬間的にイライラすることはあっても、松山はその怒りを自分の中ですぐに消化。ストレスを溜めてプレイすることがなかった。このスタンスを維持できれば、早いうちに勝利がめぐってくるかもしれない。

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