【ゴルフ】宮里藍の生命線を奪った「嫌な感触」 (3ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 それでも、なかなか結果には結びつかなかった。7月のマンソンクラシック(7月17日~20日/オハイオ州)では今季最高の12位タイという成績を残したが、その後は再び苦悩の日々が続いた。連続して予選落ちを喫すると、「来季のシード権が危うい。そんなことを心配するのは生まれて初めて」と、珍しく弱音を吐くこともあった。

 そうして、事態は劇的に変化することなく、実質的に宮里の今シーズンは終わりを告げようとしている。だが、ここ1カ月ほどは自らに言い聞かせるように、「あともうひと踏ん張り」という言葉を繰り返して奮闘。自分のストロークを徐々に取り戻しつつあるようで、1試合に1日はパッティングが決まる日が出てきていた。

「(今季は)普段とは違うプレッシャーとストレスをずっと感じていた。日々、それとの勝負で、それらをどう自分の中で処理してプレイできるかが、毎週課題だった。でも、この1カ月くらいは(米ツアーでも)十分に戦えるだけのパットが戻ってきている」

 最後の最後になって、確かな手応えを得た宮里。来季へと希望をつないだ。

 さて、心配される来季のシードについてだが、賞金ランクによるシード権獲得(80位内)はもはや難しいだろう。ただし、2012年に2勝を挙げていることから(年間複数回優勝の資格)、来季の米ツアーには出場できる。そのため、宮里の視線ははや来季を見据えて、このあと日本ツアーでのプレイも考えているという。

「今季はかなりエネルギーを使ったので、少しお休みしたいな、というのが正直なところ。でも、今の流れをうまくキープしていけるようにしたい。これからゆっくり考えますが、もし日本でプレイするなら、推薦が必要。(各関係者に)早めにお願いしなければいけないな、と思っています」

 宮里は、この1年の苦しい時間を「すごくいい経験」と笑って振り返った。しかしその笑顔の裏には、我々が想像もできないほどの苦労が隠されている。できることならその苦労を糧にして、来季再び宮里が飛躍してくれることを期待したい。ドライバーのスランプから脱出したあと、世界の頂点まで駆け上がった姿を再現し、心の底から笑っている彼女を見たい。

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