【ゴルフ】成田美寿々「賞金女王? もちろん狙ってます」 (2ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 また、成田は強烈な反骨心を持っている。「エリートに負けたくない」という意識だ。それが、彼女の強さの秘密でもある。

 成田は中学時代、ゴルフは週に1回練習する程度で、本格的に始めたのは高校に入ってからだった。そのため、早くからゴルフを始めた選手たちとは、その時点では大きな差があった。ゆえに、アマチュア時代は苦い思いばかりしてきた。

「私は子どもの頃から運動神経が良くて、何をやっても器用にこなして、どんなスポーツでも人並み以上のことができていたと思います。でも、ゴルフだけは違いました。私よりも上手い選手がたくさんいて、ジュニア時代に私がナショナルチームのメンバーに選ばれることはなかった。そういうことがあって、『ゴルフで成功してやる!』という気持ちが一段と強くなっていったんです。だから、(アマチュア時代に)ナショナルチームに入っていたようなエリートの子たちには、絶対に負けたくないんです」

 さらに特筆すべきは、成田はそうした反骨心やハードトレーニングをこなしてきた苦労を表に出さないことだ。試合中は終始笑顔を絶やさず、楽しそうにプレイしている。

「笑うことはいつも意識しているんですよ。ミスをしたら怒って、感情をあらわにする人もいますが、それでスコアが良くなるわけではありません。それに、精神的に不安定だと、ズルズルと(ミスを)引きずってしまうこともあると思うんです。そうならないように、笑顔でいることを心掛けています」

 そうは言っても、緊迫した試合が続く中で、ずっと笑顔でいることはそんなに簡単なことではない。

「実は、アマチュアのときに一度だけ、感情を表に出してしまって、失敗した経験があるんです。それで、もう同じミスは繰り返したくないなって思ったんですよ。基本的に、楽しくプレイしたいですしね」

 今や日本人トッププレイヤーに成長した成田。注目度が一気に増して、練習日には取材が殺到している。そんな多忙な日々も、彼女は楽しんでいる。

「注目されるのが好きなので、(取材されるのは)ありがたいことだと思っています。昔はこうして取材を受けることもなかったですし、本当にうれしいんですよ」

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