世界30傑の松山英樹「自分にダメだしばかりしていた」 (3ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva

 松山にとって、最終戦に進むことは今季の目標のひとつだったのだろう。18番でバーディーパットを沈めた瞬間、珍しくガッツポーズを見せ、キャディーと肩を叩き合いながら喜びを爆発させた。

「今大会、30位以内に入ることは半分諦めて臨んでいた。でも、いざ追い込まれると、『(30位圏外に落ちるのは)絶対に嫌だ』と思ってがんばりました。これで、来季のメジャー出場(全米プロ以外)が確定したことは、本当に大きいです。

 振り返ってみれば、今季はザ・メモリアルトーナメント(5月29日~6月1日/オハイオ州)を勝ってから、自分の思ったとおりのパット、スイングができなくて、どんどんストレスがたまっていった。これではダメだ、ダメだって、ずっと自分にダメだしばかりしていた。そうした状況にあって、最後の最後でここまで粘れたのはすごく価値があると思います。

『こんなゴルフで30位以内に入っていいのかな』という思いはありますが、これも1年間がんばったご褒美だと思いたい。その分、最終戦では楽しんでプレイしたいですね。優勝できればもちろんいいですけど、まずは自分で納得できるプレイをすることが大事。これから先につながるゴルフができれば、たとえ最下位(30位)に終わっても、すごくうれしいと思います」

 米ツアー初優勝を飾って以降、厳しい表情ばかり見せていた松山だが、この日はメディア対応でも照れくさそうに安堵の笑みを見せた。最終戦出場を決めたことで、ツアー優勝者としての責任というか、自ら抱えてしまった重荷をやっと下ろせたのかもしれない。最後には何か吹っ切れたかのように、「まだスイングは納得できるものじゃない。でもね、今はもういいんですよ(笑)」と、再び相好を崩した松山。そのリラックスした表情を見て、ツアー選手権が楽しみになった。

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