【ゴルフ】好調・木戸愛。「2勝目の呪縛」は解かれるか (3ページ目)

  • 野崎 晃●文 text by Nozaki Akira
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 とはいえ、悩みを重ねて、もがいてきた結果、今やっと木戸にも明るい兆しが見えてきた。前述のように、最近は3戦連続でトップ10入り。彼女自身「いい手応えをつかんでいます」と言う。

 その要因のひとつは、契約メーカーのイベントなどで面識のあった男子の芹澤信雄プロから、さまざまな指導を受けたことだった。全英女子オープン(7月10日~13日/イギリス)開催中で日本ツアーがオフの際には、一緒にミニ合宿を行なって、ショートゲームが向上した。

 その際、 芹澤プロからはこんなことも言われた。

「ミスすると、自分に怒り過ぎる。そして、真面目過ぎる。もっと、ゴルフを楽しむこと」

 そうアドバイスを受けた木戸は、何か気持ちが軽くなったという。「もっと勝ちたい」という欲はあっても、勝てなくても焦ることはなくなった。そして、自分のことを客観的に見られるようにもなった。

「初優勝を経験していなければ、こうしてつらい時期を知ることもなかっただろうし、それを乗り越えられなかったかもしれません。今のような、ゴルフが楽しいと感じる時期も味わえなかったと思うんです。そうしたことを経験できて、すごく幸せなことだな、と思っています。そう思えるようになったのは、つい最近のことなんですけどね。今も、徐々に安定した結果を出せるようになって、2勝目に向けてチャレンジしている自分に、幸せを感じています。後半戦は、必ず勝利をもぎ取りたい」

 自らの現状について冷静に分析しながらも、勝利に対して飽くなき情熱を見せる木戸。2勝目の“壁”を打ち破る瞬間は、まもなく訪れるに違いない。

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