【ゴルフ】好調・木戸愛。「2勝目の呪縛」は解かれるか (2ページ目)

  • 野崎 晃●文 text by Nozaki Akira
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

「昨年はスイングを改造しました。それが、プレイが安定しなかった理由のひとつかもしれませんが、(一昨年に)初優勝したあと、『もっと強くなりたい』とか『もっとうまくなりたい』『もっと結果を出したい』と、気持ちばかりが先走っていました」

 日本女子ツアーにはここ数年、韓国をはじめ、アジア各国のトッププロや、アマチュアで腕を鳴らした有望な若手プレイヤーが、次々に参戦してきている。選手層は年々厚みを増していて、トーナメントではちょっとしたことが勝敗を分けている。そうした状況の中で、気持ちとプレイが安定しなければ、さすがに結果を出すことはできない。

 まして、厳しいプロの世界である。何勝も勝ち星を挙げられるのは、ほんのひと握りの選手に過ぎない。アマチュア時代から活躍し、プロ入り後も常にシード権を確保している金田久美子(24歳)や藤本麻子(24歳)らも、いまだ2勝目に手が届かないでいる。まさに木戸も、彼女らと同じように2勝目の"壁"にぶち当たっている。

「まだ勝つことができなかったときも、もちろん優勝が目標でしたけど、その頃はそれに向かってがむしゃらだったというか、余計なことは何も考えていなかったかもしれません。でも、初優勝したあとは『次は2勝目!』っていう思いはあっても、いろいろなことを知って、勝利を知らなかったときよりも、あらゆることを考え過ぎてしまっているような気がします」

 木戸は優勝を経験してゴルフの怖さを知ったのだろう。それが、2勝目への"呪縛"となったのかもしれない。さらに木戸が続ける。

「例えば、以前はひとつひとつのことに対して、がむしゃらになっていい結果を前向きに追い求めていたのに、今はひとつのミスに対して『こんなミスで(スコアを落として)......』なんて、思い詰めてしまったりして......。自分(の気持ち)をコントロールするのって、すごく難しいな、と実感しています」

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