【ゴルフ】「大人のゴルファー」に変身した香妻琴乃 (3ページ目)

  • 野崎 晃●文 text by Nozaki Akira
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 もうひとつは、メンタル面の変化が大きいと香妻は語る。それが、今季のプレイに好影響を与えているという。

「私のゴルフのテーマは、『とにかく落ち着く』ことなんです。今まではすごくバタバタしていて、連続してミスが出たり、悪い流れを止められなかったりしていました。でも今年は、そういうテーマを掲げて、スコアメイクも落ち着いてできていると思います」

 事実、優勝争いを演じたサマンサタバサ・レディースでは、猛チャージをかけながらも浮き足立つことなく、終始落ち着いてプレイ。ミスショットのあとも、きちんとリカバリーして、安定感のあるゴルフを見せた。

「“大人っぽいゴルフ”じゃないですけど、オフには打ち方とか、ルーティーンとか、歩き方まで、プロらしいものに変えていこうと意識していました。もともと私は喜怒哀楽が激しいので、それを抑えるプレイも心掛けるようになりました。連続でバーディーを奪っても、スタート前と同じ気持ちを保つようにしたりして、メンタル面のコントロールには常に気を使っています。微妙な違いですけど、私のプレイをよく見ていた人には、これまでとの違いがわかるかもしれません」

 感情をあらわにせず、平静を装ったプレイを実践できるようになった香妻。確かに最近の彼女のゴルフからは、ちょっとしたことで崩壊しそうな“幼さ”というか“危うさ”が消えた。それが、安定した成績にもつながっているのだろう。

「今は(来季の)シード権獲得よりも、たくさんの試合に出られるチャンスを自分でつかんで、早く優勝することが目標です」

 見た目の愛らしいさも相まって、香妻はずっと“子どもっぽく”見られ、メディアに対する受け答えも言葉足らずのことが多かった。だが、今年で22歳を迎えた香妻は“大人のゴルフ”を目指して、立ち居振る舞いも、内面も明らかに変わった。そして、プロ選手としても着実にレベルアップ。プロ入り初のシード権獲得はもちろんのこと、悲願のツアー優勝を成し遂げる日も、決して遠くはないだろう。

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