全英OP予選突破。「松山英樹には一流の風格がある」 (2ページ目)

  • テレビ朝日 全英オープン取材班●構成 text by tv asahi The open crew

 さらに17番パー4では、グリーン手前のバンカーに打ち込んでボールが砂に埋まる大トラブルを起こした。しかもボールは、グリーン方向の壁の近くにあって、その場にいた誰もがグリーンに乗せるのは不可能だと思うほど、最悪な状態だった。だが、松山はピン横3mに寄せるスーパーショットを披露。ギャラリーから大喝采を浴びて、パーをセーブした。

 その技術の高さには、メディアに限らず、現地で取材するテレビの解説陣も目を見張った。実は松山、この17番のバンカーは事前に確認し、最悪な状況も想定し練習していたというのだ。

「練習ラウンドのときに試しに打ってみたら、うまくいった。それで、今日もうまくいくだろうと思ってやってみた。でも、あんなにうまくいくとは思わなかった」

 大ピンチを凌いだ松山は、18番パー5でも難なくバーディーを奪取。3アンダー、10位タイでフィニッシュした。崩れそうになる悪い流れを自らの強い意思で断ち切って、大トラブルを高い技術で乗り切った松山。本気でメジャー制覇を目指している男の強さを垣間見たような気がした。

 しかし、メジャーという世界最高の舞台は、そう簡単には若者の野望をかなえさせてはくれない。

 強風が吹き荒れる中での2日目、松山は10番までにふたつスコアを伸ばしたものの、15番から4ホール連続でバンカーにつかまって後退。この日、ふたつスコアを落として、通算1アンダー(24位タイ)とし、トップのマキロイ(12アンダー)とは11打差をつけられてしまった。

 その結果を受けて、松山は淡々と振り返った。

「バンカーに入ってしまったのは、マネジメントの問題であり、クラブ選択のミスです。それは、自分の問題だから仕方ないです」

 松山のショットは決して悪くなかった。その分、テレビ解説を務める丸山茂樹プロも、ちょっとしたことでスコアを落としてしまった松山の状況に、もどかしさを感じずにはいられなかった。

「(終盤の4ホールは)本当に1ヤード、2ヤードのマネジメントミスだと思います。そうさせるのは、風の影響もあると思いますが、これこそ、全英オープンに仕掛けられたトラップ。でも(松山のミスは)本当にわずかな狂いなんですよ。それだけに、歯がゆいです」

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