メジャー制覇も確信。初優勝で示した松山英樹の「強運」

  • 武川玲子●協力cooperation by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 ショットが好調だった3日目は、フェアウェーを一度も外すことなく、通算10アンダーと3つスコアを伸ばした。順位も首位バッバ・ワトソン(アメリカ)に2打差の単独3位に上がった。

「優勝争いの終盤、例えば残り5ホールとかでは、いいショットがいいショットでなくなったりして、(結果が)運、不運に左右されることはあると思う。でも、この3日目までの成績に関しては、運、不運はないと思っています。先週(クラウンプラザ招待)は、調子が上がってきていても、まだ不安な部分が多かった。(結果を出す)自信もない感じだった。でも今週は、すっきりとショットが打てている。(最終日にも)自信も持って臨めそう。それで、先週と同じ結果になったとしても、先週と今週では(意味合いが)まったく違う。優勝のチャンス? あるのかな、と思います」

 迎えた最終日、松山は前半、順調にスコアを伸ばした。マスターズチャンピオンのバッバ・ワトソン、世界ランキング1位のアダム・スコット(オーストラリア)らを相手に回しながら奮闘。スコアを通算15アンダーとし、一時は単独首位に立った。だが、16番でダブルボギー、17番でボギーを叩いて、先にホールアウトした通算13アンダーのケビン・ナ(アメリカ)に首位の座を譲った。

 残るは、最終18番パー4。平均スコア4.338と最も難易度の高いホールだ。誰が見てもその状況はかなり厳しいものだったが、松山はピン1.5mに寄せる圧巻のセカンドショットを放つと、4日間連続となる会心のバーディーを奪取。その勢いのままプレイオフを制した。

「最終18番で(首位のケビン・ナと)1打差なのは、わかっていた。バーディーが必要だと思っていました。ティーショットは(右の)バンカーの上くらいに飛んでいって、バンカーだったら『バーディーをとるのは厳しいな』と思ったんですけど、風の影響でフェアウェーまで戻ってきてくれた。うれしかったですね。あれで、(バーディーをとる)チャンスがあるかもしれないと思った。ティーショットの調子はよくなかったけれども、アイアンだけはキレていましたから。最後(の2打目)は、残り175ヤード。7番アイアンでした。小さい頃からいちばん練習していたクラブ。自分を信じて打った。それが、ピンにピタリ。土壇場でああいうショットを打てて、本当によかったと思う」

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